久々比(くくひ)神社が鎮座される兵庫県豊岡市は、コウノトリで有名な町です。自然放鳥された数十羽のコウノトリが田や川で餌をついばんでいたり、大空を舞う姿が見られます。
そして市内の近くには『久々比(くくひ)神社』という、とても小さなコウノトリにゆかりのある神社があります(コウノトリ伝説は、日本書紀に記述)。ここにはコウノトリの絵馬が多数かけられ、コウノトリの恩恵にあやかりたいとの願いを胸に全国各地よりお参り頂いております。
*放鳥式典の際、久々比神社(くくひ神社)の御守りが秋篠宮同妃両殿下へ授けられました。
久々比神社が鎮座される兵庫県豊岡市下宮地区は、昔よりくくい村(コウノトリの古称)と言われており、古来より「コウノトリ」が数多く大空を舞っていた地域です。
日本書紀によれば天湯河板挙命(あめのゆかわたなのみこと)のコウノトリ伝説が残っています。
但馬国城崎郡二十一座のうちの小社で、現在の本殿は永正四年(1507年)に再建されたものであることが知られ、室町時代中期の代表的様式を示した歴史ある神社です。
日本書記によれば、垂仁天皇が誉津別皇子(ほむつわけのおうじ)をともない宮殿の前に立たれた時、くくい(コウノトリの古称)が大空を飛んでいきました。
その時、皇子が「これは何という名の鳥だ」と言葉を発せられました。
皇子は三十歳であったが、この時まで言葉を話すことができず、この日初めて人並みの言葉をお話になられました。
これに天皇は大変喜ばれ、「誰かあの鳥を捕まえて献上せよ」という指示に、天湯河板挙(あめのゆかわのたな)が「私が必ず捕らえて献上します」と申し出て、大鳥が飛び行く国々を追いかけたそうです。
そして出雲国か但馬国で捕らえ献上したといわれます。
このことから「コウノトリ」は霊鳥と大切にされ、その鳥が棲んでいる土地を久々比(くくひ)と呼び、神社を建て、木の神「久々遅命」をお祀りし、これが久々比神社となりました。
兵庫県北部に位置する豊岡市は、2005年9月に、国指定の特別天然記念物・コウノトリが自然放鳥され、人里で野生復帰を目指す世界的にも例がない壮大な取組みが始まりました。2年後の2007年5月20日、野外で暮らすコウノトリのペアから1羽のヒナが誕生、以来、コウノトリは順調に増え続け大空を舞っています。